介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて
  (老企第三四号)
 

(平成一二年一月三一日)
(各都道府県介護保険主管部(局)長あて)
(老人保健福祉局企画課長通知)

  介護保険法(平成九年法律第一二三号。以下「法」という。)第七条第一七項の規定に基づく「厚生大臣が定める福祉用具貸与に係る福祉用具の種目」、法第四四条第一項の規定に基づく「厚生大臣が定める居宅介護福祉用具購入費等の支給に係る特定福祉用具の種目」及び法第四五条第一項規定に基づく「厚生大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類」については、平成一一年三月三一日厚生省告示第九三号、第九四号及び第九五号(以下それぞれ「貸与告示」、「購入告示」及び「住宅改修告示」という。)をもって公布され、平成一二年四月一日より適用されるところであるが、その内容及び取扱いは別添のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

改正文(平成一五年二月二四日 老振発第 〇二二四〇〇一号改正) 抄
平成十五年四月一日から適用する。
なお、今般給付対象としたものを含め、福祉用具貸与については、利用者の心身の状況や置かれている環境に応じて、自立支援や介護者の負担軽減の観点から選択・利用されるべきものであり、これらが満たされない利用は適切でないと判断されるべきであることを念のため申し添える。

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(別 添)


第1 福祉用具


1 厚生労働大臣が定める福祉用具貸与に係る福祉用具の種目

(1)   車いす
    貸与告示第一項に規定する「自走用標準型車いす」、「普通型電動車いす」及び「介助用標準型車いす」とは、それぞれ以下のとおりである。
  @ 自走用標準型車いす
     日本工業規格(JIS)T九二〇一―一九九八のうち自走用に該当するもの及びこれに準ずるもの(前輪が大径車輪であり後輪がキャスタのものを含む。)をいう。
ただし、座位変換型を含み、自走用スポーツ型及び自走用特殊型のうち特別な用途(要介護者等が日常生活の場面以外で専ら使用することを目的とするもの)の自走用車いすは除かれる。
  A 普通型電動車いす
     日本工業規格(JIS)T九二〇三―一九八七に該当するもの及びこれに準ずるものをいい、方向操作機能については、ジョイスティックレバーによるもの及びハンドルによるもののいずれも含まれる。
ただし、各種のスポーツのために特別に工夫されたものは除かれる。
なお、電動補助装置を取り付けることにより電動車いすと同様の機能を有することとなるものにあっては、車いす本体の機構に応じて@又はBに含まれるものであり、電動補助装置を取り付けてあることをもって本項でいう普通型電動車いすと解するものではないものである。
  B 介助用標準型車いす
     日本工業規格(JIS)T九二〇一―一九九八のうち、介助用に該当するもの及びそれに準ずるもの(前輪が中径車輪以上であり後輪がキャスタのものを含む。)をいう。
ただし、座位変換型を含み、浴用型及び特殊型は除かれる。
     
(2)   車いす付属品
     貸与告示第二項に掲げる「車いす付属品」とは、利用することにより、当該車いすの利用効果の増進に資するものに限られ、例えば次に掲げるものが該当する。
 なお、同項にいう「一体的に貸与されるもの」とは、車いすの貸与の際に併せて貸与される付属品又は既に利用者が車いすを貸与されている場合に後から追加的に貸与される付属品をいう
  @ クッション又はパッド
    車いすのシート又は背もたれに置いて使用することができる形状のものに限る。
  A 電動補助装置
     自走用標準型車いす又は介助用標準型車いすに装着して用いる電動装置であって、当該電動装置の動力により、駆動力の全部又は一部を補助する機能を有するものに限る。
  B テーブル
    車いすに装着して使用することが可能なものに限る。
  C ブレーキ
    車いすの速度を制御する機能を有するもの又は車いすを固定する機能を有するものに限る。
     
(3)   特殊寝台
     貸与告示第三項に規定する「サイドレール」とは、利用者の落下防止に資するものであるとともに、取付けが簡易なものであって、安全の確保に配慮されたものに限られる。
     
(4)   特殊寝台付属品
     貸与告示第四項に掲げる「特殊寝台付属品」とは、利用することにより、当該特殊寝台の利用効果の増進に資するものに限られ、例えば次に掲げるものが該当する。
なお、同項にいう「一体的に貸与されるもの」とは、特殊寝台の貸与の際に併せて貸与される付属品又は既に利用者が特殊寝台を貸与されている場合に後から追加的に貸与される付属品をいう。
  @ サイドレール
     特殊寝台の側面に取り付けることにより、利用者の落下防止に資するものであるとともに、取付けが簡易なものであって、安全の確保に配慮されたものに限る。
  A マットレス
     特殊寝台の背部又は脚部の傾斜角度の調整を妨げないよう、折れ曲がり可能な柔軟性を有するものに限る。
  B ベッド用手すり
     特殊寝台の側面に取り付けが可能なものであって、起き上がり、立ち上がり、移乗等を行うことを容易にするものに限る。
  C テーブル
     特殊寝台の上で使用することができるものであって、門型の脚を持つもの、特殊寝台の側面から差し入れることができるもの又はサイドレールに乗せて使用することができるものに限る。
  D スライディングボード・スライディングマット
     滑らせて移乗・位置交換するための補助として用いられるものであって、滑りやすい素材又は滑りやすい構造であるものに限る。
     
(5)   床ずれ防止用具
     貸与告示第五項に掲げる「床ずれ防止用具」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
  @ 送風装置又は空気圧調整装置を備えた空気パッドが装着された空気マットであって、体圧を分散することにより、圧迫部位への圧力を減ずることを目的として作られたもの。
  A 水、エア、ゲル、シリコン、ウレタン等からなる全身用のマットであって、体圧を分散することにより、圧迫部位への圧力を減ずることを目的として作られたもの。
     
(6)   体位変換器
     貸与告示第六項に掲げる「体位変換器」とは、空気パッド等を身体の下に挿入し、てこ、空気圧、その他の動力を用いることにより、仰臥位から側臥位への体位の変換を容易に行うことができるものをいう。
 ただし、専ら体位を保持するためのものは除かれる。
     
(7)   手すり
     貸与告示第7項に掲げる「手すり」とは、次のいずれかに該当するものに限られる。
 なお、上記(4)のBに掲げるものは除かれる。また、取付けに際し工事(ネジ等で居宅に取り付ける簡易なものを含む。以下同じ。)を伴うものは除かれる。工事を伴う場合であって、住宅改修告示第1号に掲げる「手すりの取付け」に該当するものについては、住宅改修としての給付の対象となるところである。
  @ 居宅の床に置いて使用すること等により、転倒予防若しくは移動又は移乗動作に資することを目的とするものであって、取付けに際し工事を伴わないもの。
  A 便器又はポータブルトイレを囲んで据え置くことにより、座位保持、立ち上がり又は移乗動作に資することを目的とするものであって、取付けに際し工事を伴わないもの。
     
(8)   スロープ
     貸与告示第八項に掲げる「スロープ」には、個別の利用者のために改造したもの及び持ち運びが容易でないものは含まれない。
 なお、取付けに際し工事を伴うものは除かれる。工事を伴う場合であって、住宅改修告示第二号に掲げる「床段差の解消」に該当するものについては、住宅改修としての給付の対象となるところである。
     
(9)   歩行器
     貸与告示第九項に規定する「把手等」とは、手で握る又は肘を載せるためのフレーム、ハンドグリップ類をいい、「体の前及び左右を囲む把手等を有する」とは、これらの把手等を体の前及び体の左右の両方のいずれにも有することをいう。ただし、体の前の把手等については、必ずしも手で握る又は肘を載せる機能を有する必要はなく、左右の把手等を連結するためのフレーム類でも差し支えない。また、把手の長さについては、要介護者等の身体の状況等により異なるものでありその長さは問わない。
     
(10)   歩行補助つえ
    松葉づえ、カナディアン、クラッチ、ロフストランド・クラッチ及び多点杖に限る。
     
(11)   認知症老人徘徊感知機器
     貸与告示第一一項に掲げる「認知症老人徘徊感知機器」とは、認知症である老人が徘徊し、屋外に出ようとした時又は屋内のある地点を通過した時に、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するものをいう。
     
(12)   移動用リフト(つり具の部分を除く。)
     貸与告示第一二項に掲げる「移動用リフト」とは、次の各号に掲げる型式に応じ、それぞれ当該各号に定めるとおりであり(つり具の部分を除く。)、住宅の改修を伴うものは除かれる。
  @ 床走行式
     つり具又はいす等の台座を使用して人を持ち上げ、キャスタで床を移動し、目的の場所に人を移動させるもの。
  A 固定式
     居室、浴室、浴槽等に固定設置し、その機器の可動範囲内で、つり具又はいす等の台座を使用して人を持ち上げるもの又は持ち上げ、移動させるもの。
  B 据置式
     床又は地面に置いて、その機器の可動範囲内で、つり具又はいす等の台座を使用して人を持ち上げるもの又は持ち上げ、移動させるもの(エレベーター及び階段昇降機は除く)。


2 厚生労働大臣が定める居宅介護福祉用具購入費等の支給に係る特定福祉用具の種目

(1)   腰掛便座
    次のいずれかに該当するものに限る。
  和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの
  洋式便器の上に置いて高さを補うもの
  電動式又はスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能を有しているもの
  便座、バケツ等からなり、移動可能である便器(居室において利用可能であるものに限る。)
     
(2)   特殊尿器
    尿が自動的に吸引されるもので居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に使用できるもの
(3)   入浴補助用具
    購入告示第三項各号に掲げる「入浴補助用具」は、それぞれ以下のとおりである。
  @ 入浴用いす
    座面の高さが概ね三五cm以上のもの又はリクライニング機能を有するものに限る。
  A 浴槽用手すり
    浴槽の縁を挟み込んで固定することができるものに限る。
  B 浴槽内いす
    浴槽内に置いて利用することができるものに限る。
  C 入浴台
    浴槽の縁にかけて浴槽への出入りを容易にすることができるものに限る。
  D 浴室内すのこ
    浴室内に置いて浴室の床の段差の解消を図ることができるものに限る。
  E 浴槽内すのこ
    浴槽の中に置いて浴槽の底面の高さを補うものに限る。
     
(4)   簡易浴槽
     購入告示第四項に規定する「空気式又は折りたたみ式等で容易に移動できるもの」とは、硬質の材質であっても使用しないときに立て掛けること等により収納できるものを含むものであり、また、居室において必要があれば入浴が可能なものに限られる。
     
(5)   移動用リフトのつり具の部分
    身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なものであること。


3 複合的機能を有する福祉用具について二つ以上の機能を有する福祉用具については、次のとおり取り扱う。

@   それぞれの機能を有する部分を区分できる場合には、それぞれの機能に着目して部分ごとに一つの福祉用具として判断する。
A   区分できない場合であって、購入告示に掲げる特定福祉用具の種目に該当する機能が含まれているときは、福祉用具全体を当該特定福祉用具として判断する。
B   福祉用具貸与の種目及び特定福祉用具の種目に該当しない機能が含まれる場合は、法に基づく保険給付の対象外として取り扱う。


第2 住宅改修


 厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類

(1)   手すりの取付け
     住宅改修告示第一号に掲げる「手すりの取付け」とは、廊下、便所、浴室、玄関等に転倒予防若しくは移動又は移乗動作に資することを目的として設置するものである。手すりの形状は、二段式、縦付け、横付け等適切なものとする。
 なお、貸与告示第七項に掲げる「手すり」に該当するものは除かれる。
(2)   床段差の解消
     住宅改修告示第二号に掲げる「床段差の解消」とは、居室、廊下、便所、浴室、玄関等の各室間の床の段差を解消するための住宅改修をいい、具体的には、敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室の床のかさ上げ等が想定されるものである。
ただし、貸与告示第八項に掲げる「スロープ」又は購入告示第三項第五号に掲げる「浴室内すのこ」を置くことによる床段差の解消は除かれる。
また、昇降機、リフト、段差解消機等動力により床段差を解消する機器を設置する工事及び玄関の外から道路までの段差解消等屋外の工事は除かれる。
(3)   滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
     住宅改修告示第三号に掲げる「滑りの防止及び移動の円滑化等のための床材の変更」とは、具体的には、居室においては畳敷から板製床材、ビニル系床材等への変更、浴室においては床材の滑りにくいものへの変更等が想定されるものである。
(4)   引き戸等への扉の取替え
     住宅改修告示第四号に掲げる「引き戸等への扉の取替え」には、開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテン等に取り替えるといった扉全体の取替えのほか、ドアノブの変更、戸車の設置等も含まれる。
ただし、引き戸等への扉の取替えにあわせて自動ドアとした場合は、自動ドアの動力部分の設置はこれに含まれず、動力部分の費用相当額は、法に基づく保険給付の対象とならないものである。
(5)   洋式便器等への便器の取替え
     住宅改修告示第五号に掲げる「洋式便器等への便器の取替え」とは、和式便器を洋式便器に取り替える場合が一般的に想定される。
ただし、購入告示第一項に掲げる「腰掛便座」の設置は除かれる。
また、和式便器から、曖房便座、洗浄機能等が付加されている洋式便器への取替えは含まれるが、既に洋式便器である場合のこれらの機能等の付加は含まれない。
さらに、非水洗和式便器から水洗洋式便器又は簡易水洗洋式便器に取り替える場合は、当該工事のうち水洗化又は簡易水洗化の部分は含まれず、その費用相当額は法に基づく保険給付の対象とならないものである。
(6)   その他(1)から(5)の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
     その他住宅改修告示第一号から第五号までに掲げる住宅改修に付帯して必要となる住宅改修としては、それぞれ以下のものが考えられる。
  @ 手すりの取付け
    手すりの取付けのための壁の下地補強
  A 床段差の解消
    浴室の床の段差解消(浴室の床のかさ上げ)に伴う給排水設備工事
  B 床材の変更
    床材の変更のための下地の補修や根太の補強
  C 扉の取替え
    扉の取替えに伴う壁又は柱の改修工事
  D 便器の取替え
     便器の取替えに伴う給排水設備工事(水洗化又は簡易水洗化に係るものを除く。)、便器の取替えに伴う床材の変更

 

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