「労働派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令」(平成十五年政令第一二〇号。以下「改正政令」という。)及び「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成十五年厚生労働省令第五九号。以下「改正省令」という。)が平成十五年三月二八日に公布され、同日付けで施行されたところである。その改正の概要、留意事項等は以下のとおりであるので、御了知の上、管内市町村、関係団体等にその周知徹底を図り、その円滑な運用に万全の対応をしていただくようお願いしたい。
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@医療法第一条の五第一項に規定する病院
A医療法第一条の五第二項に規定する診療所(以下に掲げるものを除く)
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身体障害者福祉法 (昭和二十四年法律第二八三号)第三十条に規定する。
身体障害者療護施設の中に設けられた診療所 |
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労働福祉事業団法(昭和三十二年法律第一二六号)第十九条第一項第1号に規定するリハビリテーション施設(労災リハビリテーション施設)の中に設けられた診療所 |
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老人福祉法(昭和三十八年法律第一三三号)第二十条の四に規定する
養護老人ホームの中に設けられた診療所 |
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老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホームの中に設けられた診療所 |
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原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第一一七号)第三十九条に規定する養護事業を行う施設(原子力爆弾被爆者養護ホームの中に設けられた診療所) |
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B医療法第二条第一項に規定する助産所
C介護保健法(平成九年法律第一二三号)第七条第二十二項に規定する介護老人保健施設
D居宅(往診、訪問看護、訪問リハビリテーション等) |
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なお、労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等の入所者に対して往診、訪問看護、訪問リハビリテーション等が行われた場合も該当する(引き続き労働者派遣事業は禁止される)こととなるので、念のため申し添える。 |
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(2)労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等 |
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今回の改正に伴い、 |
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(1)の@からDに掲げるもの以外の場所(社会福祉施設等)において行われる医療関連業務 |
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D居宅において行われるもののうち、訪問入浴介護における看護師・准看護師の行う医療関連業務 |
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については、労働者派遣事業の対象となる。
なお、有料老人ホーム、軽費老人ホーム等において行われる医療関連業務については、今回の改正により派遣の対象となる。(往診、訪問看護、訪問リハビリテーション等を除く。) |
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(3)社会福祉施設のうち病院、診療所又は助産所であるものの取扱い |
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社会福祉施設のうち、施設全体が医療法に規定する病院、診療所又は助産所であるものについては、引き続き労働者派遣事業の対象とはならない。
(例:重症心身障害児施設、肢体不自由児施設)
なお、これらの施設や上記(1)Aに掲げる施設における病院、診療所又は助産所の開設に際しては、従来どおり、医療法上の病院又は診療所の開設に係る所要の手続を行う必要があるので留意されたい。 |
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第二 労働者派遣制度の趣旨・概要 |
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労働者派遣制度の趣旨・概要については以下のとおりであるので、十分に御了知されたい。詳細については別紙3(PDF
1320KB)のパンフレットを参照されたい。
なお、派遣労働者の受入れ等制度の詳細について不明な点等があれば、適宜、都道府県労働局又は公共職業安定所に相談されたい。 |
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(1)労働者派遣制度の趣旨 |
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労働者派遣制度は、臨時的・一時的な労働力の需給調整のための制度として位置付けられているものであり、この考え方に基づき、派遣期間の制限が設けられていること。 |
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(2)派遣期間の制限 |
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派遣先は、派遣就業の場所ごとの同一の業務について、原則として一年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととされていること
(法第四十条の二第一項)。
派遣先は、派遣契約を更新したり、派遣元事業主又は派遣労働者を交替しても、一年を超えて継続して労働者派遣を受けることはできないものであること。
なお、専門的知識、技術や特別な雇用管理を必要とする業務として政令で定める業務(事務用機器操作、ソフトウェア開発等のいわゆる二十六業務)については、原則一年の派遣期間の制限の対象外となっているが、医療関連業務はこれに該当せず、一年の派遣期間の制限の対象となるものであること。
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(3)派遣労働者を特定することを目的とする行為の制限 |
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派遣先は、労働者派遣契約を締結する際、事前面接や履歴書の送付等の派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならないこととされていること(法第二十六条七項)
また、派遣元事業主は派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為に協力してはならないこととされていること。(法第26条第七項・派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針)
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第三 社会福祉施設等が派遣労働者を受け入れる際の留意点 |
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今回新たに医療関連業務について労働者派遣事業の対象となる社会福祉施設等において、労働者派遣により労働者を確保する場合には、事前に派遣労働者を特定することができないこと等労働者派遣制度の特性を十分に踏まえるとともに、医療関連業務の適正実施の観点から、以下の点に留意の上、適切に対応する必要があること。 |
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(1) |
派遣元事業主の選定に当たっての留意事項 |
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派遣元事業主を選定する際には、派遣される医療従事者の質の確保が当該施設等において適切なサービスを提供するために必要不可欠であることを踏まえ、派遣元事業主の登録している労働者に対する |
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・知識、技術又は経験についての把握状況 |
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・教育訓練の実施の有無等 |
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について、十分に確認の上、適切な派遣元事業主を選定するよう努めること。 |
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(2) |
業務内容の把握と派遣元事業主に対する適切な説明 |
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労働者派遣契約を締結するに当たっては、派遣労働者が従事する業務の内容を把握し、当該業務を行うために求められる知識、技術又は経験等について、派遣元事業主に対して事前に十分に説明し、派遣元事業主がそのニーズに応じた労働者の選定ができるよう努めること
なお、医療関係資格者について派遣を受ける場合には、以下のような条件を付けることは可能であること。
(例)勤務年数、社会福祉施設等における勤務経験 |
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(3) |
労働者派遣契約における必要な条件の設定 |
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労働者派遣契約を締結する際には、派遣元事業主の都合により頻繁に派遣労働者が変更されることのないよう、派遣を受ける社会福祉施設等が希望する場合、 |
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@派遣労働者は、当該社会福祉施設における就業開始後に、就業の継続を拒否する自由を妨げられないこと、A派遣労働者の年次有給休暇、育児休業等の取得等の派遣労働者の権利(派遣元事業主と派遣労働者との雇用契約上の権利を含む。)を害することのないことを明らかにした上で、派遣元事業主が選定した派遣労働者を継続的に派遣する趣旨の規定を労働者派遣契約に盛り込むなど、派遣労働者の交替について事前に契約事項として定めておくことは可能であること。 |
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(4) |
派遣労働者受入後の対応 |
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派遣労働者を受け入れた場合には、当該派遣労働者と当該施設等において直接雇用している医師・看護師等の医療職や寮母等の福祉職等の職員との相互の能力把握や意思疎通が十分になされるよう、必要な措置を講じるよう努めること。 |
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(5) |
円滑な業務引継のための対応 |
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派遣労働者の交替により業務の引継ぎの必要が生じた場合でも円滑に業務の引継ぎができるよう、業務に関する記録の作成や管理方法等の標準化に努めること。 |
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(6) |
責任の所在の明確化 |
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一般に、派遣労働者の業務遂行に伴い入所者等の第三者に損害を与えた場合、派遣元事業主と派遣先との間においては、社会福祉施設等が派遣先として損害賠償責任を負うものと考えられることを前提に、派遣元事業主との間で労働者派遣契約を締結する際には、損害賠償を含む責任の所在について明確にするよう努めること。 |
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(7) |
入所者等のプライバシー保護に対する配慮 |
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社会福祉施設等で医療関連業務に従事する派遣労働者に対しても、医療資格者の守秘義務等について、改めて十分に認識させること。 |
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第四 施行期日 |
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平成十五年三月二八日 |
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