労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部改正の施行について    
(※本文はPDF)
 
(平成一六年三月三十一日)
(各都道府県知事 殿 あて)
医政発第0331010号
職発第0331012号
老発第0331008号
 
 「職業安定法施工令等の一部を改正する政令」(平成十五年政令五四二号)により標記の政令が改正され、本年三月一日より施工されたところである。その改正の概要、病院等における医療関連業務への派遣労働者の受入れに関する留意事項等は以下のとおりであるので、御了知の上、管内市町村、関係団体等にその周知徹底を図るとともに、都道府県労働局等とも連携の上、その円滑な運用にご配慮願いたい。
 
1. 改正の概要
 
    「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(昭和60年法律88号。以下「労働者派遣法」という。) においては、派遣先が派遣労働者を特定する行為が禁止されてきたところであるが、病院等(※)における医療関連業務への労働者派遣については、 病院等が派遣労働者となる医療資格者を特定できないことによってチーム医療に支障が生じるとの指摘等を考慮し、同法施行令において禁止されてきた。
    一方、昨年6月に労働者派遣法が改正され、照会予定派遣の場合は、派遣先が派遣労働者を特定する行為が可能となったことから、これを踏まえ、今般、同法施行令の改正により、病院等における医療関連業務についても、紹介予定派遣の場合には労働者派遣を行うことを可能としたものである。(別添1参照) ※(PDF90KB)
   なお、紹介予定派遣以外の労働者派遣については、引き続き禁止されている。
※)「病院等」・・・病院、診療所(身体障害者療護施設の中に設けられた診療所等の厚生労働省令で定めるものを除く。)、助産所、介護老人保健施設及び居宅
 
2. 紹介予定派遣の概要等
 
  (1) 紹介予定派遣の概要
     紹介予定派遣とは、労働者派遣のうち、派遣元事業主が派遣労働者および派遣先に対して
職業紹介(※)を行うことを予定していうものをいう。
     紹介予定派遣は、一定の労働者派遣の期間を経て直接雇用に移行することを念頭に行われるものであり、労働者派遣の期間中に、派遣労働者は派遣先における業務が自分に合うかどうか等を確認し、派遣先は派遣労働者の業務遂行能力等が直接雇用するのに相応しいかどうか等を確認した上で、あっせんを経て双方が合意した場合に直接雇用に移行することができる。
    ※)「職業紹介」・・・求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること。→参照図はこちら ※(PDF211KB)
 
  (2) 紹介予定派遣の留意事項等
   
紹介予定派遣の派遣受入期間等
       派遣先は、紹介予定派遣を受け入れるに当たっては、6箇月を超えて、同一の派遣労働者を受け入れてはならないこととされている。
       また、紹介予定派遣を経て直接雇用した労働者については、試用期間を設けてはならないこととされている。
   
紹介予定派遣に係わる派遣労働者の特定
       労働者派遣法においては、派遣先が、派遣労働者を特定することを目的とする行為を行うことが原則として禁止されているが、紹介予定派遣については、派遣就業終了後に派遣労働者が派遣先に直接雇用されることを念頭に行われるものであることにかんがみ、例外的に派遣労働者を特定することを目的とする行為(派遣就業開始前の面接、履歴書の送付等)を行うことが可能とされている。
   
紹介予定派遣を受けた派遣労働者を雇用しない場合等の理由の明示
       派遣先が紹介予定派遣を受けた派遣労働者について職業紹介を受けることを希望しなかた場合又は職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合は、派遣元事業主の求めに応じ、その理由を書面、ファクシミリ又は電子メールにより明示しなければならないこととされている。
   
労働者派遣契約及び派遣先管理台帳への記載事項
       派遣先は、労働者派遣契約及び派遣先管理台帳に、紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に予定される雇用契約の期間の定めの有無等の所定の事項を記載しなければならないこととされている。
       なお、派遣元事業主は、派遣労働者の求めに応じ、派遣先から明示された理由を書面により明示しなければならないこととされている。
 
  (3) その他
     (2)に掲げるほか、労働者派遣事業制度の詳細については、別添2のパンフレットを参照されたい。
     なお、労働者派遣事業制度の詳細について不明な点等があれば、適宜、都道府県労働局に御相談いただきたい。
 
3. 病院等における医療関連業務へ派遣労働者を受け入れる際の留意点
 
   病院等が、医療関連業務へ派遣労働者を受け入れるに当たっては、医療関連業務の適正な実施等の観点から、以下の点に留意の上、適切に対応する必要がある。
 
  (1) 派遣元事業主の選定
     労働者派遣事業制度においては、派遣元事業主及び派遣先においてそれぞれ責任者を選任し、派遣労働者からの苦情の処理等の業務に当たらせることとしているところであるが、医療関連業務の専門性等にかんがみると、医療資格者の派遣を行う派遣元事業主は、医療資格者である派遣労働者からの相談・苦情等に適切に対応しうる体制(専門的なスタッフの配置等)を有していることが望ましいものであり、派遣先である病院等は、こうした派遣元事業主を選定することが望ましいこと。
     なお、労働・社会保険への加入や適切な休暇の付与等の雇用管理が適正になされていることに加え、必要な教育訓練を適切に実施している等の適切な派遣元事業主を選定することが重要であること。
 
  (2) 派遣労働者である医療資格者に対する教育訓練等
     労働者派遣事業制度においては、派遣元事業主が派遣労働者の教育訓練の機会の確保に努めること等とされているほか、派遣先においても、派遣労働者の教育訓練・能力開発について可能な限り協力し、必要に応じた教育訓練に係わる便宜を図るよう努めなければならないこととされている。
     派遣先である病院等は、医療が生命・健康に関わるものであることを十分に踏まえ、派遣労働者に対する教育訓練の実施等に積極的に協力するほか、派遣労働者を含めた医療資格者の資質の確保・向上に努めること。
 
  (3) 派遣労働者である医療資格者の適正な就業条件の確保等
     労働者派遣事業制度においては、派遣先に対して、派遣先責任者の選任等の一定の責務が課せられているほか、労働時間の管理、労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等の労働基準法、労働安全衛生等に基づく事業主としての責務の一部が課せられている。
    派遣先である病院等は、派遣労働者である医療資格者の受け入れに当たりこれらの措置を適切に講じなければならないこと。
 
  (4) 責任の所在の明確化
     一般に、派遣労働者の業務遂行に伴い患者等の第三者に損害を与えた場合、派遣元事業主と派遣先との間においては、派遣労働者に対して指揮命令を行う病院等が派遣先として損害賠償責任を負うものと考えられることを前提に、派遣元事業主との間で労働者派遣契約を締結する際には、損害賠償を含む責任の所在について明確にするよう努めること。
 

4. 都道府県等による患者等の苦情や相談への対応

 
   各都道府県等においては、医療に関する患者等の苦情や相談に対応し、医療安全対策を推進するため、「医療安全支援センターの設置について」(平成15年4月30日医政発第0430003号厚生労働省医政局長通知)に基づき設置された医療安全支援センターに相談窓口が設けられていることろであるが、苦情や相談の内容が、派遣労働の問題に関わるような場合にも、必要に応じ都道府県労働局等とも連携の上、適切な対応を行うようお願いしたいこと。
 
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