指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

(平成十一年三月三十一日)
(厚生省令第三十七号)

最終改正:平成一五年三月十四日厚生労働省令第二十八号


介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第四十二条第一項第二号 並びに第七十四条第一項 及び第二項 の規定に基づき、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準を次のように定める。

 第一章 総則(第一条―第三条)
 第二章 訪問介護
  第一節 基本方針(第四条)
  第二節 人員に関する基準(第五条・第六条)
  第三節 設備に関する基準(第七条)
  第四節 運営に関する基準(第八条―第三十九条)
  第五節 基準該当居宅サービスに関する基準(第四十条―第四十三条)
 第三章 訪問入浴介護
  第一節 基本方針(第四十四条)
  第二節 人員に関する基準(第四十五条・第四十六条)
  第三節 設備に関する基準(第四十七条)
  第四節 運営に関する基準(第四十八条―第五十四条)
  第五節 基準該当居宅サービスに関する基準(第五十五条―第五十八条)
 第四章 訪問看護
  第一節 基本方針(第五十九条)
  第二節 人員に関する基準(第六十条・第六十一条)
  第三節 設備に関する基準(第六十二条)
  第四節 運営に関する基準(第六十三条―第七十四条)
 第五章 訪問リハビリテーション
  第一節 基本方針(第七十五条)
  第二節 人員に関する基準(第七十六条)
  第三節 設備に関する基準(第七十七条)
  第四節 運営に関する基準(第七十八条―第八十三条)
 第六章 居宅療養管理指導
  第一節 基本方針(第八十四条)
  第二節 人員に関する基準(第八十五条)
  第三節 設備に関する基準(第八十六条)
  第四節 運営に関する基準(第八十七条―第九十一条)
 第七章 通所介護
  第一節 基本方針(第九十二条)
  第二節 人員に関する基準(第九十三条・第九十四条)
  第三節 設備に関する基準(第九十五条)
  第四節 運営に関する基準(第九十六条―第百五条)
  第五節 基準該当居宅サービスに関する基準(第百六条―第百九条)
 第八章 通所リハビリテーション
  第一節 基本方針(第百十条)
  第二節 人員に関する基準(第百十一条)
  第三節 設備に関する基準(第百十二条)
  第四節 運営に関する基準(第百十三条―第百十九条)
 第九章 短期入所生活介護
  第一節 基本方針(第百二十条)
  第二節 人員に関する基準(第百二十一条・第百二十二条)
  第三節 設備に関する基準(第百二十三条・第百二十四条)
  第四節 運営に関する基準(第百二十五条―第百四十条)
  第五節 小規模生活単位型指定短期入所生活介護介護の事業の基本方針並びに設備及び運営に関する基準
   第一款 この節の趣旨及び基本方針(第百四十条の二・第百四十条の三)
   第二款 設備に関する基準(第百四十条の四・第百四十条の五)
   第三款 運営に関する基準(第百四十条の六―第百四十条の十三)
  第六節 一部小規模生活単位型指定短期入所生活介護の事業の基本方針並びに設備及び運営に関する基準
   第一款 この節の趣旨及び基本方針(第百四十条の十四・第百四十条の十五)
   第二款 設備に関する基準(第百四十条の十六・第百四十条の十七)
   第三款 運営に関する基準(第百四十条の十八―第百四十条の二十五)
  第七節 基準核当居宅サービスに関する基準(第百四十条の二十六―第百四十条の三十二)
 第十章 短期入所療養介護
  第一節 基本方針(第百四十一条)
  第二節 人員に関する基準(第百四十二条)
  第三節 設備に関する基準(第百四十三条)
  第四節 運営に関する基準(第百四十四条―第百五十五条)
 第十一章 認知症対応型共同生活介護
  第一節 基本方針(第百五十六条)
  第二節 人員に関する基準(第百五十七条・第百五十八条)
  第三節 設備に関する基準(第百五十九条)
  第四節 運営に関する基準(第百六十条―第百七十三条)
 第十二章 特定施設入所者生活介護
  第一節 基本方針(第百七十四条)
  第二節 人員に関する基準(第百七十五条・第百七十六条)
  第三節 設備に関する基準(第百七十七条)
  第四節 運営に関する基準(第百七十八条―第百九十二条)
 第十三章 福祉用具貸与
  第一節 基本方針(第百九十三条)
  第二節 人員に関する基準(第百九十四条・第百九十五条)
  第三節 設備に関する基準(第百九十六条)
  第四節 運営に関する基準(第百九十七条―第二百五条)
  第五節 基準該当居宅サービスに関する基準(第二百六条)
 附則

(平一五厚令二八・一部改正)

第一章 総則
 
 (趣旨)
第一条
   指定居宅サービスの事業に係る介護保険法 (平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第七十四条第一項 の基準及び員数並びに同条第二項 の指定居宅サービスの事業の設備及び運営に関する基準並びにこれらのうち法第四十二条第一項第二号 の基準該当居宅サービスの事業が満たすべきものについては、この省令の定めるところによる。

 (定義)
第二条
   この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   居宅サービス事業者 法第七条第五項に規定する居宅サービス事業を行う者をいう。
   指定居宅サービス事業者又は指定居宅サービス それぞれ法第四十一条第一項に規定する指定居宅サービス事業者又は指定居宅サービスをいう。
   利用料 法第四十一条第一項に規定する居宅介護サービス費又は法第五十三条第一項に規定する居宅支援サービス費の支給の対象となる費用に係る対価をいう。
   居宅介護サービス費用基準額 法第四十一条第四項第一号 又は第二号 に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該指定居宅サービスに要した費用の額を超えるときは、当該現に指定居宅サービスに要した費用の額とする。)をいう。
   法定代理受領サービス 法第四十一条第六項 (法第五十三条第四項 において準用する場合を含む。)の規定により居宅介護サービス費又は居宅支援サービス費が利用者に代わり当該指定居宅サービス事業者に支払われる場合の当該居宅介護サービス費又は居宅支援サービス費に係る指定居宅サービスをいう。
   基準該当居宅サービス 法第四十二条第一項第二号 に規定する基準該当居宅サービスをいう。
   居宅支援サービス費用基準額 法第五十三条第二項第一号 又は第二号 に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該指定居宅サービスに要した費用の額を超えるときは、当該現に指定居宅サービスに要した費用の額とする。)をいう。
   常勤換算方法 当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいう。
  (平一二厚令一二七・一部改正)

 (指定居宅サービスの事業の一般原則)
第三条
   指定居宅サービス事業者は、利用者の意思及び人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービスの提供に努めなければならない。
 指定居宅サービス事業者は、指定居宅サービスの事業を運営するに当たっては、地域との結び付きを重視し、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、他の居宅サービス事業者その他の保健医療サービス及び福祉サービスを提供する者との連携に努めなければならない。

 

第二章 訪問介護

第一節 基本方針 
 
 (基本方針)
第四条

 

 指定居宅サービスに該当する訪問介護(以下「指定訪問介護」という。)の事業は、要介護状態等となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、入浴、排せつ、食事の介護その他の生活全般にわたる援助を行うものでなければならない。


第二節 人員に関する基準
 
 (訪問介護員等の員数)
第五条
   指定訪問介護の事業を行う者(以下「指定訪問介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定訪問介護事業所」という。)ごとに置くべき訪問介護員等(指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士又は法第七条第六項 に規定する政令で定める者をいう。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の員数は、常勤換算方法で、二・五以上とする。
 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに、常勤の訪問介護員等であって専ら指定訪問介護の職務に従事するもののうち事業の規模に応じて一人以上の者をサービス提供責任者としなければならない。
(平一二厚令一二七・一部改正)
 
 (管理者)
第六条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問介護事業所の管理上支障がない場合は、当該指定訪問介護事業所の他の職務に従事し、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。

第三節 設備に関する基準
 
 (設備及び備品等)
第七条
   指定訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けるほか、指定訪問介護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。

第四節 運営に関する基準
 
 (内容及び手続の説明及び同意)
第八条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、第二十九条に規定する運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない。
 指定訪問介護事業者は、利用申込者又はその家族からの申出があった場合には、前項の規定による文書の交付に代えて、第五項で定めるところにより、当該利用申込者又はその家族の承諾を得て、当該文書に記すべき重要事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に掲げるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により提供することができる。この場合において、当該指定訪問介護事業者は、当該文書を交付したものとみなす。
   電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
     指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機と利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
     指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項に規定する重要事項を電気通信回線を通じて利用申込者又はその家族の閲覧に供し、当該利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該重要事項を記録する方法(電磁的方法による提供を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
   磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項に規定する重要事項を記録したものを交付する方法
 前項に掲げる方法は、利用申込者又はその家族がファイルへの記録を出力することによる文書を作成することができるものでなければならない。
 第二項第一号の「電子情報処理組織」とは、指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機と、利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
 指定訪問介護事業者は、第二項の規定により第一項に規定する重要事項を提供しようとするときは、あらかじめ、当該利用申込者又はその家族に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、文書又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
   第二項各号に規定する方法のうち指定訪問介護事業者が使用するもの
   ファイルへの記録の方式
 前項の規定による承諾を得た指定訪問介護事業者は、当該利用申込者又はその家族から文書又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該利用申込者又はその家族に対し、第一項に規定する重要事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該利用申込者又はその家族が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
  (平一三厚労令三六・一部改正)

 (提供拒否の禁止)
第九条
   指定訪問介護事業者は、正当な理由なく指定訪問介護の提供を拒んではならない。

 (サービス提供困難時の対応)
第十条
   指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の通常の事業の実施地域(当該事業所が通常時に当該サービスを提供する地域をいう。以下同じ。)等を勘案し、利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難であると認めた場合は、当該利用申込者に係る居宅介護支援事業者への連絡、適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならない。

 (受給資格等の確認)
第十一条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供を求められた場合は、その者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定等の有無及び要介護認定等の有効期間を確かめるものとする。
 指定訪問介護事業者は、前項の被保険者証に、法第七十三条第二項 に規定する認定審査会意見が記載されているときは、当該認定審査会意見に配慮して、指定訪問介護を提供するように努めなければならない。

 (要介護認定等の申請に係る援助)
第十二条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、要介護認定等を受けていない利用申込者については、要介護認定等の申請が既に行われているかどうかを確認し、申請が行われていない場合は、当該利用申込者の意思を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならない。
 指定訪問介護事業者は、居宅介護支援(これに相当するサービスを含む。)が利用者に対して行われていない等の場合であって必要と認めるときは、要介護認定等の更新の申請が、遅くとも当該利用者が受けている要介護認定等の有効期間が終了する三十日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならない。
  (平一五厚令二八・一部改正)

 (心身の状況等の把握)
第十三条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供に当たっては、利用者に係る居宅介護支援事業者が開催するサービス担当者会議(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 (平成十一年厚生省令第三十八号)第十三条第九号 に規定するサービス担当者会議をいう。以下同じ。)等を通じて、利用者の心身の状況、その置かれている環境、他の保健医療サービス又は福祉サービスの利用状況等の把握に努めなければならない。
  (平一五厚令二八・一部改正)

 (居宅介護支援事業者等との連携)
第十四条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供するに当たっては、居宅介護支援事業者その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。
 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の終了に際しては、利用者又はその家族に対して適切な指導を行うとともに、当該利用者に係る居宅介護支援事業者に対する情報の提供及び保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

 (法定代理受領サービスの提供を受けるための援助)
第十五条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、利用申込者が介護保険法施行規則 (平成十一年厚生省令第三十六号。以下「施行規則」という。)第六十四条 各号のいずれにも該当しないときは、当該利用申込者又はその家族に対し、居宅サービス計画の作成を居宅介護支援事業者に依頼する旨を市町村に対して届け出ること等により、指定訪問介護の提供を法定代理受領サービスとして受けることができる旨を説明すること、居宅介護支援事業者に関する情報を提供することその他の法定代理受領サービスを行うために必要な援助を行わなければならない。
   
 (居宅サービス計画に沿ったサービスの提供)
第十六条
   指定訪問介護事業者は、居宅サービス計画(施行規則第六十四条第一号 ハに規定する計画を含む。以下同じ。)が作成されている場合は、当該計画に沿った指定訪問介護を提供しなければならない。
   
 (居宅サービス計画等の変更の援助)
第十七条
   指定訪問介護事業者は、利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合は、当該利用者に係る居宅介護支援事業者への連絡その他の必要な援助を行わなければならない。
   
 (身分を証する書類の携行)
第十八条
   指定訪問介護事業者は、訪問介護員等に身分を証する書類を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならない。
 
 (サービスの提供の記録)
第十九条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日及び内容、当該指定訪問介護について法第四十一条第六項 (法第五十三条第四項 において準用する場合を含む。)の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費又は居宅支援サービス費の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面に記載しなければならない。
 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。
(平一五厚令二八・一部改正)
 
 (利用料等の受領)
第二十条
   指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当する指定訪問介護を提供した際には、その利用者から利用料の一部として、当該指定訪問介護に係る居宅介護サービス費用基準額又は居宅支援サービス費用基準額から当該指定訪問介護事業者に支払われる居宅介護サービス費又は居宅支援サービス費の額を控除して得た額の支払を受けるものとする。
 指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当しない指定訪問介護を提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額と、指定訪問介護に係る居宅介護サービス費用基準額又は居宅支援サービス費用基準額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければならない。
 指定訪問介護事業者は、前二項の支払を受ける額のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問介護を行う場合は、それに要した交通費の額の支払を利用者から受けることができる。
 指定訪問介護事業者は、前項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、利用者の同意を得なければならない。

 (保険給付の請求のための証明書の交付)
第二十一条
   指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当しない指定訪問介護に係る利用料の支払を受けた場合は、提供した指定訪問介護の内容、費用の額その他必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に対して交付しなければならない。

 (指定訪問介護の基本取扱方針)
第二十二条
   指定訪問介護は、利用者の要介護状態の軽減若しくは悪化の防止又は要介護状態となることの予防に資するよう、その目標を設定し、計画的に行われなければならない。
 指定訪問介護事業者は、自らその提供する指定訪問介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。

 (指定訪問介護の具体的取扱方針)
第二十三条
   訪問介護員等の行う指定訪問介護の方針は、次に掲げるところによるものとする。
   指定訪問介護の提供に当たっては、次条第一項に規定する訪問介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要な援助を行う。
   指定訪問介護の提供に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者又はその家族に対し、サービスの提供方法等について、理解しやすいように説明を行う。
   指定訪問介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術をもってサービスの提供を行う。
   常に利用者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、利用者又はその家族に対し、適切な相談及び助言を行う。

 (訪問介護計画の作成)
第二十四条
   サービス提供責任者(第五条第二項に規定するサービス提供責任者をいう。以下この条及び第二十八条において同じ。)は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて、指定訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した訪問介護計画を作成しなければならない。
 訪問介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成しなければならない。
 サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。
 サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成した際には、当該訪問介護計画を利用者に交付しなければならない。
 サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成後、当該訪問介護計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて当該訪問介護計画の変更を行うものとする。
 第一項から第四項までの規定は、前項に規定する訪問介護計画の変更について準用する。
  (平一二厚令三七・平一五厚令二八・一部改正)

 (同居家族に対するサービス提供の禁止)
第二十五条
   指定訪問介護事業者は、訪問介護員等に、その同居の家族である利用者に対する訪問介護の提供をさせてはならない。
  (平一二厚令三七・一部改正)

 (利用者に関する市町村への通知)
第二十六条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を受けている利用者が次の各号のいずれかに該当する場合は、遅滞なく、意見を付してその旨を市町村に通知しなければならない。
   正当な理由なしに指定訪問介護の利用に関する指示に従わないことにより、要介護状態等の程度を増進させたと認められるとき。
   偽りその他不正な行為によって保険給付を受け、又は受けようとしたとき。  

 (緊急時等の対応)
第二十七条
   訪問介護員等は、現に指定訪問介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならない。

 (管理者及びサービス提供責任者の責務)
第二十八条
   指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者及び業務の管理を、一元的に行わなければならない。
 指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。
 サービス提供責任者は、第二十四条に規定する業務のほか、指定訪問介護事業所に対する指定訪問介護の利用の申込みに係る調整、訪問介護員等に対する技術指導等のサービスの内容の管理を行うものとする。

 (運営規程)
第二十九条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(以下この章において「運営規程」という。)を定めておかなければならない。
   事業の目的及び運営の方針
   従業者の職種、員数及び職務の内容
   営業日及び営業時間
   指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額
   通常の事業の実施地域
   緊急時等における対応方法
   その他運営に関する重要事項

 (介護等の総合的な提供)
第二十九条の二
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の事業の運営に当たっては、入浴、排せつ、食事等の介護又は調理、洗濯、掃除等の家事(以下この条において「介護等」という。)を常に総合的に提供するものとし、介護等のうち特定の援助に偏することがあってはならない。
  (平一三厚労令二四・追加)

 (勤務体制の確保等)
第三十条
   指定訪問介護事業者は、利用者に対し適切な指定訪問介護を提供できるよう、指定訪問介護事業所ごとに、訪問介護員等の勤務の体制を定めておかなければならない。
 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等によって指定訪問介護を提供しなければならない。
 指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない。

 (衛生管理等)
第三十一条
   指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行わなければならない。  
 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所の設備及び備品等について、衛生的な管理に努めなければならない。 

 (掲示)
第三十二条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所の見やすい場所に、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を掲示しなければならない。

 (秘密保持等)
第三十三条
   指定訪問介護事業所の従業者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。
 指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の従業者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
 指定訪問介護事業者は、サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならない。

 (広告)
第三十四条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所について広告をする場合においては、その内容が虚偽又は誇大なものであってはならない。

 (居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止)
第三十五条
   指定訪問介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない。

 (苦情処理)
第三十六条
   指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に係る利用者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
 指定訪問介護事業者は、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。
 指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に関し、法第二十三条 の規定により市町村が行う文書その他の物件の提出若しくは提示の求め又は当該市町村の職員からの質問若しくは照会に応じ、及び利用者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
 指定訪問介護事業者は、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。
 指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に係る利用者からの苦情に関して国民健康保険団体連合会(国民健康保険法 (昭和三十三年法律第百九十二号)第四十五条第五項 に規定する国民健康保険団体連合会をいう。以下同じ。)が行う法第百七十六条第一項第二号 の調査に協力するとともに、国民健康保険団体連合会から同号 の指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
 指定訪問介護事業者は、国民健康保険団体連合会からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。
  (平一五厚令二八・一部改正)

 (事故発生時の対応)
第三十七条
   指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
 指定訪問介護事業者は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。
 指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
  (平一五厚令二八・一部改正)

 (会計の区分)
第三十八条
   指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。

 (記録の整備)
第三十九条
   指定訪問介護事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
 指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。
   訪問介護計画
   第十九条第二項に規定する提供した具体的なサービスの内容等の記録
   第二十六条に規定する市町村への通知に係る記録
   第三十六条第二項に規定する苦情の内容等の記録
   第三十七条第二項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
  (平一五厚令二八・一部改正)

第五節 基準該当居宅サービスに関する基準

 (訪問介護員等の員数)
第四十条
   基準該当居宅サービスに該当する訪問介護又はこれに相当するサービス(以下「基準該当訪問介護」という。)の事業を行う者(以下「基準該当訪問介護事業者」という。)が、当該事業を行う事業所(以下「基準該当訪問介護事業所」という。)ごとに置くべき訪問介護員等(基準該当訪問介護の提供に当たる介護福祉士又は法第七条第六項 に規定する政令で定める者をいう。以下この節において同じ。)の員数は、三人以上とする。
 基準該当訪問介護事業者は、基準該当訪問介護事業所ごとに、訪問介護員等のうち一人以上の者をサービス提供責任者としなければならない。
  (平一二厚令三七・一部改正)

 (管理者)
第四十一条
   基準該当訪問介護事業者は、基準該当訪問介護事業所ごとに専らその職務に従事する管理者を置かなければならない。ただし、基準該当訪問介護事業所の管理上支障がない場合は、当該基準該当訪問介護事業所の他の職務に従事し、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。

 (設備及び備品等)
第四十二条
   基準該当訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な広さの区画を設けるほか、基準該当訪問介護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。

 (同居家族に対するサービス提供の制限)
第四十二条の二
   基準該当訪問介護事業者は、訪問介護員等に、その同居の家族である利用者に対する訪問介護の提供をさせてはならない。ただし、同居の家族である利用者に対する訪問介護が次のいずれにも該当する場合には、この限りでない。
   当該訪問介護の利用者が、離島、山間のへき地その他の地域であって、指定訪問介護のみによっては必要な訪問介護の見込量を確保することが困難であると市町村が認めるものに住所を有する場合
   当該訪問介護が、法第四十六条第一項 に規定する指定居宅介護支援事業者又は法第四十七条第一項第一号 に規定する基準該当居宅介護支援の事業を行う者の作成する居宅サービス計画に基づいて提供される場合
   当該訪問介護が、第四十条第二項に規定するサービス提供責任者の行う具体的な指示に基づいて提供される場合
   当該訪問介護が、入浴、排せつ、食事等の介護をその主たる内容とする場合
   当該訪問介護を提供する訪問介護員等の当該訪問介護に従事する時間の合計時間が、当該訪問介護員等が訪問介護に従事する時間の合計時間のおおむね二分の一を超えない場合
 基準該当訪問介護事業者は、前項ただし書の規定に基づき、訪問介護員等にその同居の家族である利用者に対する基準該当訪問介護の提供をさせる場合において、当該利用者の意向や当該利用者に係る第四十三条において準用する第二十四条第一項の訪問介護計画の実施状況等からみて、当該基準該当訪問介護が適切に提供されていないと認めるときは、当該訪問介護員等に対し適切な指導を行う等の必要な措置を講じなければならない。
  (平一二厚令三七・一部改正)

 (準用)
第四十三条
   第一節及び第四節(第十五条、第二十条第一項、第二十五条、第二十九条の二並びに第三十六条第五項及び第六項を除く。)の規定は、基準該当訪問介護の事業について準用する。この場合において、第十九条中「内容、当該指定訪問介護について法第四十一条第六項 (法第五十三条第四項 において準用する場合を含む。)の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費又は居宅支援サービス費の額」とあるのは「内容」と、第二十条第二項及び第二十一条中「法定代理受領サービスに該当しない指定訪問介護」とあるのは「基準該当訪問介護」と、第二十条第三項中「前二項」とあるのは「前項」と、第二十四条第一項中「第五条第二項」とあるのは「第四十条第二項」と、「第二十八条」とあるのは「第四十三条において準用する第二十八条」と読み替えるものとする。
(平一二厚令三七・平一三厚労令二四・一部改正)
   
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