老企第25号    
一部改正の法令及び、通知


第2 総論

 事業者指定の単位について
  事業者の指定は、原則としてサービス提供の拠点ごとに行うものとするが、例外的に、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所等であって、次の要件を満たすものについては、一体的なサービス提供の単位として「事業所」に含めて指定することができる取扱いとする。
  利用申込に係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
  職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所等の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。
  苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
  事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規定が定められること。
  人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。
 
用語の定義
  基準第2条において、一定の用語についてその定義を明らかにしているところであるが、以下は、同条に定義が置かれている用語について、その意味をより明確なものとするとともに、基準中に用いられている用語であって、定義規定が置かれていないものの意味を明らかにするものである。
   
  (1) 「常勤換算方法」
    当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものであること。
     
  (2) 「勤務延時間数」
    勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。
     
  (3) 「常勤」
    当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、一の事業者によって行われる指定訪問介護事業所と指定居宅介護支援事業所が併設されている場合、指定訪問介護事業所の管理者と指定居宅介護支援事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。
     
  (4) 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」
    原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従事者の当該事業所における勤務時間「指定通所介護及び指定通所リハビリテーションについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。ただし、通所介護及び通所リハビリテーションについては、あらかじめ計画された勤務表に従って、サービス提供時間帯の途中で同一職種の従業者と交代する場合には、それぞれのサービス提供時間を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをもって足りるものである。
     
  (5) 「前年度の平均値」
  基準第121条第4項(指定短期入所生活介護に係る生活相談員、介護職員又は看護職員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法、)第142条第3項(老人性認知症疾患療養病棟を有する病院であって介護療養型医療施設でない指定短期入所療養介護事業所における看護職員又は介護職員の員数を算定する場合の入院患者の数の算定方法)及び第175条第3項(指定特定施設における生活相談員、看護職員若しくは介護職員の人員並びに計画作成担当者の人員の標準を算定する場合の利用者の数の算定方法)における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の平均を用いる。この場合、利用者数等の平均は、前年度の全利用者等の延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この平均利用者数等の算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。
  新たに事業を開始し、若しくは再開し、又は増床した事業者又は施設においては、新設又は増床分のベッドに関しては、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の利用者数等は、新設又は増床の時点から6月未満の間は、便宜上、ベッド数の90%を利用者数等とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における全利用者等の延数を6月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における全利用者等の延数を1年間の日数で除して得た数とする。また、減床の場合には、減床後の実績が3月以上あるときは、減床後の利用者数等の延数を延日数で除して得た数とする。ただし、短期入所生活介護及び特定施設入居者生活介護については、これらにより難い合理的な理由がある場合には、他の適切な方法により利用者数を推定するものとする。
   
3 指定居宅サービスと指定介護予防サービス等の一体的運営等について
  指定居宅サービス又は基準該当居宅サービスに該当する各事業を行う者が、指定介護予防サービス又は基準該当介護予防サービスに該当する各事業者の指定を併せて受け、かつ、指定居宅サービス又は基準該当居宅サービスの各事業と指定介護予防サービス又は基準該当介護予防サービスの各事業とが同じ事業所内で一体的に運営されている場合については、介護予防における各基準を満たすことによって、基準を満たしているとみなすことができる等の取扱いを行うことができるとされたが、その意義は次のおとりである。
例えば、訪問介護においては、指定居宅サービスにおいても、指定介護予防サービスにおいても、訪問介護員等を常勤換算方法で2.5人以上配置しなければならないとされているが、同じ事業所で一体的に運営している場合には、合わせて常勤換算方法で5人以上を置かなければならないという趣旨ではなく、常勤換算方法で2.5人以上配置していることで、指定居宅サービスに該当する訪問介護も、指定介護予防サービスに該当する訪問介護も、双方の基準を満たすこととするという趣旨である。また、通所介護において、例えば、要介護の利用者が16人、要支援の利用者が4人である場合、それぞれが独立して基準を満たすためには、指定通所介護事業所にあっては、生活相談員1人、看護職員1人、介護職員2人を配置することが必要となり、指定介護予防通所介護事業所にあっては、生活相談員1人、介護職員1人を配置するこが必要となるが、一体的に事業を行っている場合については、それぞれの事業所において、要介護の利用者と要支援の利用者とを合算し、利用者を20人とした上で、生活相談員1人、看護職員1人、介護職員2人を配置することによって、双方の基準を満たすこととするという趣旨である。(機能訓練指導員については、いずれかの職種の者が兼務することとした場合。)
設備、備品についても同様であり、例えば、定員30人指定通所介護事業所においては、機能訓練室の広さは30人×3=90平方メートルを確保する必要があるが、この30人に介護予防通所介護事業所の利用者も含めて通算することにより、要介護者15人、要支援者15人であっても、あるいは要介護者20人、要支援者10人の場合であっても、合計で90平方メートルが確保されていれば、基準を満たすこととするという趣旨である。
要するに、人員についても、設備、備品についても、同一の事業所で一体的に運営する場合にあっては、例えば、従前から、指定居宅サービス事業を行っている者が、従来通りの体制を確保していれば、指定介護予防サービスの基準も同時に満たしていると見なすことができるという趣旨である。
なお、居宅サービスと介護予防サービスを同一の拠点において運営されている場合であっても、完全に体制を分離して行われており一体的に運営されているとは評価されない場合にあっては、人員についても設備、備品についてもそれぞれが独立して基準を満たす必要があるので留意されたい。
   




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