老企第25号    
一部改正の法令及び、通知


三 訪問看護

1    人員に関する基準
     
  (1) 看護師等の員数(居宅基準第60条)
  指定訪問看護ステーションの場合(居宅基準第60条第1項第1号)
    指定訪問看護ステーションにおける保健師、看護師又は准看護師(以下「看護職員」という。)の員数については、常勤換算方法で2.5人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数及び指定訪問看護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の人員を確保するものとする。
    勤務日及び勤務時間が不定期な看護師等についての勤務延時間数の算定については、指定訪問介護の場合と同様である。
    理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士については、実情に応じた適当数を配置するものとする(配置しないことも可能で ある。)。
    出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の看護職員の勤務延時間数とは、出張所等における勤務延時間数も含めるものとする。
  指定訪問看護を担当する医療機関の場合(居宅基準第60条第1項第2号)
    指定訪問看護事業所ごとに、指定訪問看護の提供に当たる看護職員を適当数置かなければならない。
   
  (2) 指定訪問看護ステーションの管理者(居宅基準第61条)
  訪問看護ステーションの管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該指定訪問看護ステーションの管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該指定訪問看護ステーションの管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
    当該指定訪問看護ステーションの看護職員としての職務に従事する場合
    当該指定訪問看護ステーションが健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合に、当該訪問看護ステーションの管理者又は看護職員としての職務に従事する場合
    同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該指定訪問看護ステーションの管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、併設される入所施設における看護業務(管理業務を含む。)との兼務は管理者の業務に支障があると考えられるが、施設における勤務時間が極めて限られている職員の場合には、例外的に認められる場合もありうる。)
  指定訪問看護ステーションの管理者は、管理者としてふさわしいと認められる保健師又は看護師であって、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第14条第3項の規定により保健師又は看護師の業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しない者に該当しないものである。
  管理者の長期間の傷病又は出張等の緊急やむを得ない理由がある場合には、老人の福祉の向上に関し相当の知識、経験及び熱意を有し、過去の経歴等を勘案して指定訪問看護ステーションの管理者としてふさわしいと都道府県知事に認められた者であれば、管理者として保健師及び看護師以外の者をあてることができるものとする。ただし、この場合においても、可能な限り速やかに常勤の保健師及び看護師の管理者が確保されるように努めなければならないものである。
  指定訪問看護ステーションの管理者は、医療機関における看護、訪問看護又は老人保健法第19条の訪問指導の業務に従事した経験のある者である必要がある。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい。
   
2    設備に関する基準
     
  (1) 指定訪問看護ステーションの場合(居宅基準第62条第1項)
  指定訪問看護ステーションには、運営に必要な面積を有する専用の事務室を設ける必要がある。ただし、当該指定訪問看護ステーションが健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合には、両者を共用することは差し支えない。また、当該指定訪問看護ステーションが、他の事業の事業所を兼ねる場合には、必要な広さの専用の区画を有することで差し支えないものとする。なお、この場合に、区分されていなくても業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものである。
  事務室については、利用申込みの受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
  指定訪問看護に必要な設備及び備品等を確保する必要がある。特に、感染症予防に必要な設備等に配慮する必要がある。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問看護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
   
  (2) 指定訪問看護を担当する医療機関の場合(居宅基準第62条第2項)
  指定訪問看護を担当する病院又は診療所には、指定訪問看護の事業を行うために必要な専用の区画を設ける必要がある。なお、業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものである。
  指定訪問看護の事業に必要な設備及び備品等を確保する必要がある。ただし、設備及び備品等については、当該医療機関における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。
   
3    運営に関する基準
     
  (1) サービス提供困難時の対応
    指定訪問看護事業者が、指定訪問看護の提供を拒否する正当な理由としては、第3の3の(2)に示した理由のほか、利用申込者の病状等により、自ら適切な訪問看護の提供が困難と判断した場合が該当するが、これらの場合には、居宅基準第63条の規定により、指定訪問看護事業者は、主治医及び居宅介護支援事業者への連絡を行い、適当な他の指定訪問看護事業者等を紹介する等の必要な措置を速やかに講じなければならない。
   
  (2) 健康手帳への記載
   

居宅基準第65条は、提供した指定訪問看護に関して、次のとおりその記録を利用者の健康手帳の医療の記録に係るページに記載しなければならないことを定めたものである。なお、健康手帳の医療に係るページの様式については、「健康手帳の医療の受給資格を証するページ及び医療の記録に係るページの様式」(昭和57年11月厚生省告示第192号)により定められているものである。

  「医療機関等名称・所在地・電話」の欄には、指定訪問看護事業所の名称、所在地及び電話番号を記載すること。
  「外来・入退院年月日」の欄には、利用開始及び終了年月日を記載すること。
   
  (3) 利用料等の受領
  居宅基準第66条第1項、第3項及び第4項については、第3の3の(10)の及びを参照されたいこと。
  居宅基準第66条第2項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定訪問看護を提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額及び法定代理受領サービスである指定訪問看護に係る費用の額と、医療保険給付又は老人訪問看護療養費の対象となる健康保険法及び老人保健法上の指定訪問看護の費用の額の間に不合理な差異を設けてはならないこととしたものであること。
    なお、そもそも介護保険給付、医療保険給付又は老人訪問看護療養費の給付対象となる訪問看護と明確に区分されるサービスについては、第3の3の(10)ののなお書きを参照されたいこと。
   
  (4) 指定訪問看護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
   

居宅基準第67条及び第68条にいう指定訪問看護の取扱方針においてて、特に留意すべきことは、次のとおりであること。 

  指定訪問看護は、利用者の心身の状態を踏まえて、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治医との密接な連携のもとに訪問看護計画に沿って行うこととしたものであること。
  指定訪問看護の提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問看護計画の修正を行い改善を図る等に努めなければならないものであること。
  利用者の健康状態と経過、看護の目標や内容、具体的な方法その他療養上必要な事項について利用者及び家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うこと。
  指定訪問看護の提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な看護技術をもって対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものであること。
  医学の立場を堅持し、広く一般に認められていない看護等については行ってはならないこと。
   
  (5) 主治医との関係(居宅基準第69条)
  指定訪問看護事業所の管理者は、指示書に基づき指定訪問看護が行われるよう、主治医との連絡調整、指定訪問看護の提供を担当する看護師等の監督等必要な管理を行わなければならないこと。なお、主治医とは、利用申込者の選定により加療している医師をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできないものであること。

居宅基準第69条第2項は、指定訪問看護の利用対象者は、その主治医が指定訪問看護の必要性を認めたものに限られるものであることを踏まえ、指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際しては、利用者の主治医が発行する訪問看護指示の文書(以下「指示書」という。)の交付を受けなければならないこととしたものであること。

  指定訪問看護事業所の管理者は、主治医と連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならないこと。
  指定訪問看護の実施に当たっては、特に医療施設内の場合と異なり、看護師等が単独で行うことに十分留意するとともに慎重な状況判断等が要求されることを踏まえ、主治医との密接かつ適切な連携を図ること。
   保険医療機関が指定訪問看護事業者である場合には、主治医の指示は診療録に記載されるもので差し支えないこと。また、訪問看護計画書及び訪問看護報告書についても看護記録等の診療記録に記載されるもので差し支えないこと。
   
  (6) 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
  居宅基準第70条は、看護師等(准看護師を除く。)が利用者ごとに、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を作成することとしたものである。
  看護師等は、訪問看護計画書には、利用者の希望、主治医の指示及び看護目標、具体的なサービス内容等を記載する。なお、既に居宅サービス計画等が作成されている場合には、当該計画に沿って訪問看護の計画を立案する。
  看護師等は、訪問看護計画の目標や内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行う必要がある。
  訪問看護計画書は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、訪問介護計画書を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該訪問介護計画書が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
 

訪問看護計画書は、利用者の希望、主治医の指示及び心身の状況を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、看護師等は、訪問看護計画書の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該訪問看護計画書を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した訪問看護計画書は、居宅基準第73条の2第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。

  指定訪問看護事業所が保険医療機関である場合は、居宅基準第69条第4項により、主治の医師への訪問看護計画書の提出は、診療記録への記載をもって代えることができることとされているため、居宅基準第70条第4項に基づく訪問看護計画書の交付については、「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日老企第55号)に定める訪問看護計画書を参考 に各事業所ごとに定めるものを交付することで差し支えない。
  看護師等は、訪問看護報告書には、訪問を行った日、提供した看護内容、サービス提供結果等を記載する。なお、第70条に規定する報告書は、訪問の都度記載する記録とは異なり、主治医に定期的に提出するものをいう。
  管理者にあっては、訪問看護計画に沿った実施状況を把握し、計画書及び報告書に関し、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
  指定訪問看護事業者は、主治医との連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を定期的に主治医に提出しなければならない。
   
  (7) 記録の整備
    指定訪問看護事業所が保険医療機関である場合は、居宅基準第73条の2により整備すべき記録のうち、指示書、訪問看護計画書及び 訪問看護報告書については、診療録及び診療記録の保存でも差し支えない。
   
  (8) 準用
    居宅基準第74条の規定により、居宅基準第8条、第9条、第11条から第13条まで、第15条から第19条まで、第21条、第26条、第30から第38条まで及び第52条の規定は、指定訪問看護の事業について準用されるものであるため、第3の3の(1)、(2)、(4)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)まで並びに第4の3の(4)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
  居宅基準第13条(心身の状況等の把握)中「心身の状況」とあるのは、「心身の状況、病歴」と読み替えられること。
  準用される居宅基準第30条については、指定訪問看護ステーションにおいては、原則として月ごとの勤務表を作成し、看護師等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤.非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすること。指定訪問看護を担当する医療機関においては、指定訪問看護事業所ごとに、指定訪問看護に従事する看護師等を明確にし、原則として月ごとの勤務表を作成し、それらの者の職務の内容、常勤、常勤の別等を明確にすること。なお、指定訪問看護事業所の看護師等については、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に規定する派遣労働者であってはならないものであること。
       
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