老企第25号    
一部改正の法令及び、通知


十 特定施設入居者生活介護

1   人員に関する基準
     
  (1) 看護職員及び介護職員 
  居宅基準第175条第1項第2号ハの「常に1以上の指定特定施設入居着生活介護の提供に当たる介護職員の確保」及び居宅基準第175条第2項第2号ハの「常に1以上の指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護の提供に当たる介護職員の確保」とは、介護サービスの提供内容に応じて介護職員の勤務体系を適切に定めることであり、宿直時間帯を含めて適切な介護を提供できるようにするものとする。
  居宅基準第175条第2項第2号イの「看護職員及び介護職員の合計数」について、要介護者の利用者及び要支援2として認定を受けている利用者の数に、要支援1として認定を受けている利用者1人を要介護 0.3人と換算して合計した利用者数をもとに、3又はその端数を増すごとに1以上と算出するものとする。

居宅基準第175条第2項第2号ハの「宿直時間帯」は、それぞれの事業所ごとに利用者の状況等に応じて、例えば午後9時から午前6時までなどと設定するものとする。また、宿直時間帯には宿直勤務を行う介護職員がいなければならないこととする。

居宅基準第175条第8項の「指定介護予防特定施設入居者生活介護のみを提供する場合」とは、入居者の状態の改善等により要介護者が存在せず、要支援者に対する介護予防サービスのみが提供される場合をいうものとする。

     
  (2) 主として指定特定施設入居者生活介護の提供に当たる看護職員又は介護職員
居宅基準第 175条第5項の「主として指定特定施設入居者生活介護の提供に当たる看護職員又は介護職員」及び居宅基準第175条第8項の「主として指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護の提供に当たる介護職員及び看護職員」とは、要介護者等(第5項の場合には要介護者、第8項の場合には要介護者及び要支援者をいう。以下同じ。)に対するサービス提供に従事することを基本とするものである。ただし、要介護者等のサービス利用に支障のないときに、要介護者等以外の当該特定施設の入居者に対するサービス提供を行うことは差し支えない。
指定時においては、これらの従業者が要介護者等に対してサービスを提供する者として、それぞれ他の従業者と明確に区分するための措置が講じられており、この措置及び前記の趣旨が運営規程において明示されていることを確認する必要がある。
   
  (3)

機能訓練指導員(居宅基準第175条第6項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。

   
  (4) 管理者(居宅基準第176条)
短期入所生活介護の場合と同趣旨であるため、第10の1の(5)を参照されたい。
   
2   設備に関する基準(居宅基準第177条)
     
  (1)

居宅基準第177条第2項は、指定短期入所生活介護の事業に係る居宅基準第124条第2項と同趣旨である為、第3の八の2の(2)を参照されたい。

     
  (2) 居宅基準第177条第4項第1号イの「利用者の処遇上必要と認められる場合」とは、例えば、夫婦で居室を利用する場合などであって、事業者の都合により一方的に2人部屋とすることはできない。なお、附則第18条により、既存の指定特定施設における定員4人以下の介護居室については、個室とする規定を適用しないものとする 。
     
  (3)

居宅基準第177条第4項において、介護居室、一時介護室、食堂及び機能訓練室についていう「適当な広さ」については、面積による基準を定めることはせず、利用者の選択に委ねることとする。このため、具体的な広さについては、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項であり、利用申込者に対する文書を交付しての説明及び掲示が必要となる。また、機能訓練室については、他に適当な場所が確保されている場合に設けないことができることとしたが、この場合には、同―敷地内にある若しくは道路を隔てて隣接する又は当該特定施設入居者生活介護事業所の付近にある等機能訓練の実施に支障のない範囲内にある施設の設備を利用する場合も含まれるものである。

     
  (4) 居宅基準第177条第5項の「利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造」とは、段差の解消、廊下の幅の確保等の配慮がなされていることをいうものである。
     
  (5) 居宅基準附則第10条は、平成11年3月31日において既に存在する特定有料老人ホーム(旧社会福祉・医療事業集団業務方法書に規定する特定有料老人ホームをいう。)について、浴室及び食堂を設けないことができるものとする趣旨で設けられたものである。ただし、利用者が当該有料老人ホームに併設する養護老人ホーム等の浴室及び食堂を利用することができること等が要件であることに留意するものとする。
   
3   運営に関する基準
     
  (1)

内容及び手続の説明及び契約の締結等
居宅基準第178条第1項は、利用者に対し適切な特定施設入居者生活介護を提供するため、入居申込者又はその家族に対し、入居申込者のサービス選択に資すると認めらる重要事項ついて、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、同意を得なければならないこととしたものである。
「入居申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項」とは、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、介護居室、一時介護室、浴室、食堂及び機能訓練室の概要、要介護状態区分に応じて当該事業者が提供する標準的な介護サービスの内容、利用料の額及びその改定の方法並びに事故発生時の対応等である。
また、契約書においては、少なくとも、介護サービスの内容及び利用料その他費用の額、契約解除の条件を記載するものとする。
なお、居宅基準175条第2項本文に規定する介護予防特定施設入居者生活介護の指定をあわせて受ける場合にあっては、特定施設入居者生活介護事業と介護予防特定施設入居者生活介護の契約について別の契約書とすることなく、1つの契約書によることができる。

     
  (2)

指定特定施設入居者生活介護の提供の開始等
居宅基準第179条第2項は、入居者が当該指定特定施設入居者生活介護事業者から指定特定施設入居者生活介護を受けることに同意できない場合もあること等から設けたものである。

   
  (3)

法定代理受領サービスを受けるための利用者の同意
居宅基準第180条は、有料老人ホーム等において、介護保険制度の施行前に既に入居し、介護費用を一時金等により前払いで支払った場合に、介護保険の給付対象部分との調整が必要であること等から、利用者の同意をもって法定代理受領サービスの利用が可能となることとしたものである。
また、介護保険法施行規則第64条第3号の規定に基づき、指定特定施設入居者生活介護事業者は、市町村(又は国民健康保険団体連合会) に対して、法定代理受領サービスの利用について利用者の同意を得た旨及びその者の氏名等が記載された書類を提出することが必要であるが、これについては別途通知するものである。
なお、居宅基準第175条第2項本文に規定する介護予防特定施設入居者生活介護の指定をあわせて受ける場合にあっては、特定施設入居者生活介護に係る同意の書類と介護予防特定施設入居者生活介護に係る要件となる同意の書類は、別々の書類によることなく1つの書類によることができる。

   
  (4)

サービス提供の記録
居宅基準第181条は、指定特定施設入居者生活介護の提供を受けている者が居宅療養管理指導以外の居宅サービス、地域密着型サービス及び施設サービスについて保険給付を受けることができないことを踏まえ、他の居宅サービス事業者等が当該利用者が指定特定施設入居者生活介護の提供を受けていることを確認できるよう、指定特定施設入居者生活介護事業者は、指定特定施設入居者生活介護の開始に際しては当該開始の年月日及び入居している指定特定施設の名称を、指定特定施設入居者生活介護の終了に際しては当該終了の年月日を、利用者の被保険者証に記載しなければならないこととしたものである。

   
  (5) 利用料等の受領
  居宅基準第182条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定訪問介護に係る第20条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3の3の(10) の及びを参照されたい。

居宅基準第182条第3項は、指定特定施設入居者生活介護事業者は、指定特定施設入居者生活介護の提供に関して、

   

利用者の選定により提供される介護その他の日常生活上の便宜に要する費用

    おむつ代
    前2号に掲げるもののほか、指定特定施設入居者生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、ハの費用の具体的な範囲については、別途通知するところによるものである。
   
  (6)

指定特定施設入居者生活介護の提供の取扱方針
居宅基準第184条第4項及び第5項は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。

   
  (7)

特定施設サービス計画の作成
居宅基準第184条は、特定施設サービス計画の作成及び変更の留意点及び方法について定めたものであるが、利用者に対するサービスが総合的に提供されるよう、当該計画は、介護保険給付の対象とならない介護サービスに関する事項をも含めたものとする。なお、当該計画の作成及び実施に当たっては、利用者の希望を十分勘案するものとする。
サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、計画作成担当者は、特定施設サービス計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で文書によって利用者の同意を得なければならず、また、当該特定施設サービス計画を利用者に交付しなければならない。

   
  (8) 介護
 

居宅基準第185条の規定による介護サービスの提供に当たっては 当該指定特定施設においてその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとするなお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格を十分に配慮して実施するものとする。

 

同条第2項の規定による入浴の実施に当たっては、自ら入浴が困難な利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、健康上の理由等で入浴の困難な利用者については、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。

 

同条第3項の規定による排せつの介助に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。

 

同条第4項は、特定施設入居者生活介護事業者は、入居者の心身の状況や要望に応じて、1日の生活の流れに沿って、食事、離床、着替え、整容などの日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。

   
  (9)

相談及び援助
居宅基準第187条の規定による相談及び援助については、常時必要な相談及び社会生活に必要な支援を行いうる体制をとることにより、積極的に入居者の生活の向上を図ることを趣旨とするものである。なお、社会生活に必要な支援とは、入居者自らの趣味又は嗜好に応じた生きがい活動、各種の公共サービス及び必要とする行政機関に対する手続き等に関する情報提供又は相談である。

   
  (10) 利用者の家族との連携等
居宅基準第188条は、指定特定施設入居者生活介護事業者は、利用者の生活及び健康の状況並びにサービスの提供状況を家族に定期的に報告する等常に利用者と家族の連携を図るとともに、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。
   
  (11) 運営規程
居宅基準第189条は、指定特定施設入居者生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定特定施設入居者生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第9号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定特定施設ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
  指定特定施設入居者生活介護の内容
    「指定特定施設入居者生活介護の内容」については、入浴の介護の1週間における回数等のサービスの内容を指すものであるこおと。
  その他運営に関する重要事項
居宅基準第175条第1項第2号の看護職員又は介護職員を、それぞれ他の従業者と明確に区分するための措置等を指すものであること。
また、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急にやむを得ない場合に身体拘束等を行う際の手続きについて定めておくことが望ましい。
     
(12)

勤務体制の確保等
居宅基準第190条は、利用者に対する適切な指定特定施設入居者生活介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。

  特定施設従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、機能訓練指導員との兼務関係、計画作成担当者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。
  同条第2項の規定により、指定特定施設入居者生活介護に係る業務の全部又は1部を他の事業者(以下「受託者」という。)に行わせる指定特定施設入居者生活介護事業者(以下「委託者」という。)は、当該受託者に対する当該業務の管理及び指揮命令の確実な実施を確保するため、当該委託契約において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。この場合において、委託者は受託者に委託した業務の全部又は一部を再委託させてはならない。なお、給食、警備等の特定施設入居者生活介護に含まれない業務については、この限りでない。
    当該委託の範囲
    当該委託に係る業務(以下「委託業務」という。)の実施に当 たり遵守すべき条件
   

受託者の従業者により当該委託業務が居宅基準第12章第4節の運営基準に従って適切に行われていることを委託者が定期的に確認する旨

    委託者が当該委託業務に関し受託者に対し指示を行い得る旨
   

委託者が当該委託業務に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるよう前号の指示を行った場合において、当該措置が講じられたことを委託者が確認する旨

   

受託者が実施した当該委託業務により入居者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在   

   

その他当該委託業務の適切な実施を確保するために必要な事項    

  指定特定施設入居者生活介護事業者はのハ及びホの確認の結果の記録を作成しなければならないこと。
 

指定特定施設入居者生活介護事業者が行うのニの指示は、文書により行わなければならないこと。

 

指定特定施設入所者生活介護事業者は、居宅基準第191条の2第2項の規定に基づき、のハ及びホの確認の結果の記録を2年間保存しなければならないこと。

   
  (13) 協力医療機関等
  居宅基準第191条第1項及び第2項は、第171条第1項及び第2項と同趣旨であるので、第12の4の(10)のを参照されたい。
 

指定特定施設入居者生活介護事業者は、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。

   
  (14) 地域との連携等
     
  居宅基準第191条の2第1項は、指定特定施設入居者生活介護の事業が地域に開かれた事業として行われるよう、指定特定施設入居者生活介護事業者は、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。

 

同条第2項は、居宅基準第3条第2項の趣旨に基づき、介護相談員を派遣する事業を積極的に受け入れる等、市町村との密接な連携に努めることを規定したものである。なお「市町村が実施する事業」には、介護相談員派遣事業の、ほか、広く市町村が老人クラブ、婦人会その他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。

   
  (15) 準用
    居宅基準第192条の規定により、居宅基準第11条、第12条、第21条、第26条、第32条から第38条まで、第51条、第52条、第103条、第104条及び第132条の規定は、指定特定施設入居者生活介護の事業に準用されるものであるため第3の3の(4)(5)(11)、(14)及び(21)、(22)、(23)、(24) 、(25) 、第4の3の(3)及び(4) 、第8の3の(6)及び(7) 、第10の3の(8)を参照されたい。
     
     
 
このページのトップへ 前ページ  次ページ
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |